先日、一日休みを取り、映画を見にいきました。
”ブリューゲルの動く絵”

この映画の題材になっているのは、16世紀にネーデルランドで活躍した画家ピーテル・ブリューゲルの描いた”十字架を担うキリスト”という名画。

Pieter Bruegel ”十字架を担うキリスト” 1564年
この絵画の舞台は16世紀のフランドル。十字架を背負わされ処刑の地ゴルゴダの丘へ向かうキリストを描いた宗教画。
当時のフランドルでの支配者達の暴挙や、宗教異端者に対する虐殺を憂いたブリューゲルの友人でありコレクターでもある人物が依頼し描かせたものだそうです。
当時のフランドルでの有り様を、キリストの受難の物語と重ね合わせて描かれています。
当時の政治的背景や、宗教上の意味合いなどは自分はあまり詳しくないし、調べればいくらでも出て来るので割愛しますが、映画を見る前に少しでも頭に入れておくと、映画の内容がより深く理解できるかもしれません。
「最も重要なものは見逃される」 今回のブログのタイトルでもあるこの言葉は、映画の中のブリューゲルの台詞です。
”十字架を担うキリスト”の絵画の中では、主役であるべきイエスは小さく目立たない場所に描かれています、さらに周りの野次馬である民衆の目線はイエスには向けられていません。本当に着目すべきものを見ていないのです。
ブリューゲルはあえて、この様な構図にすることで絵画を観る者の目線を巧みにイエスの元へと導いているそうです。
また映画では、この民衆の様に本来 着目すべき対象に目を向けず(あるいは目に入らなくなっている)状態を現代の我々と照らし合わせいます、多くの人々はどんなに大きな事件に直面しても、直接自分に害がなければ無関心を装って日常の生活を優先させる。
この絵画と映画は「人間の精神的盲目性」を暗喩しているようです。
こう書くと少し難しい内容に感じてしましますが、映画自体は当時の生活や衣装などが再現されていて、16世紀のフランドルの世界やブリューゲルの絵画の中に入り込める様な感覚になれるので、非常におすすめです。
http://www.bruegel-ugokue.com/index.html
posted by D.I.T at 00:57|
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